ありがとう 瀬戸内寂聴先生 第一回「宿命編」

ありがとう 瀬戸内寂聴先生 第一回「宿命編」

創喜塾認定鑑定士の菊桐媛子です。敬愛してやまない瀬戸内寂聴先生を紐解いてみたいと思います。残念ながら2021年に鬼籍に入られましたが、大正から令和を駆け抜けた、先生の波乱万丈な人生をみていきましょう。算命学の観点からの考察ですので、事実と異なる表現があるかもしれませんがご了承ください。

三回連載の第一回目は「先生が活かした宿命とは」です。

  • 瀬戸内寂聴先生の命式 1922年5月15日生 女性

   (陰占)

  癸 乙 壬

申 未 巳 戌 子

酉 丁 庚 辛 丑

  乙 戊 丁

  己 丙 戊

  20 42 59

   (陽占)

    石門星  天堂星

禄存星 玉堂星  龍高星

天庫星 鳳閣星 天報星

総エネルギー量:272

排気量:5.33 理想は9.07

車幅:47 平均(50)の0.94倍

スピード:0.17 標準(0.23)の0.76倍

守護神:辛

【大運】
初旬3才:甲辰 
2 旬目13才:癸卯 
3 旬目23才:壬寅 
4 旬目33才:辛丑
5旬目43才:庚子 
6旬目53才:己亥 
7旬目63才:戊戌 
8旬目73才:丁酉
9旬目83才:丙申 
10旬目93才:乙未

寂聴先生は、作家・尼僧(にそう)以外にも反戦・反核・死刑反対・反原発運動など、多くの活動をされてきました。

その原動力はどこからきていたのでしょうか。日柱「癸未」の性情には、温厚で純粋、人当たりのいい人ですが、内には激しい闘志を秘めている人とあります。

陽占中心星は玉堂星です。慈愛に満ちた純粋な母性を持った人で、批判力と観察力には素晴らしいものがある人でもあります。

局法では推逆局に入局していますので、気性が激しく神経が鋭い面もお持ちでした。感情的に物事を判断する傾向もあったので、反対運動に立ち上がったり、作家として問題作を書いてみたりと、激しい一面もありましたが、その表現の根底には人を想う気持ち、博愛主義があってのことでした。

人には隠れた稼働力があるのですが、寂聴先生の稼働力は、禄存星と車騎星です。禄存星には博愛主義・愛情奉仕、車騎星には、攻撃本能、短気さと一本気で、かつ正直な人生航路という意味があります。車騎星は、世の中が動乱期を迎えると、攻撃力とそのスピードでいち早く活路を見い出し、大衆を救うのですが、平和な時代には乱暴者になりかねない質でもあります。先生の反対運動は、現代の平和な時代では、少人数のゲリラ的な攻撃と感じられるかもしれませんが、全ては慈しみの愛からくる行動なのです。

寂聴先生の行動領域は、宇宙盤でみますと4領域という全ての領域を網羅しています。バランスの取れた人でもあるのですが、四位崇型ですので、他から侵略されるためにいつも見張っていないといけないので落ち着きませんし、いつも争いが絶えないというタイプの方なのです。寂聴先生が動くとき、自身は純粋な気持ちを表現しているだけでしたが、賛否両論が常にありました。

陰占の位相法でも、日柱と年柱が庫気刑ですので、権力を持った目上に対して、争いを起こしやすく、目上からいじめられやすいのです。それらは先生ご自身が引き寄せる宿命を持っていたからなのですね。多くの批判の中にあっても、逆に表現者として、糧に肥やしにしていかれたのかもしれません。

また、玉堂星は習得本能を司っており、伝統文化の伝道師でもあります。先人たちの知恵を受け継ぎ、次世代へとつなげて行く地味なエネルギー発揮なのですが、もの静かで高貴な世界です。幼少期より文学を愛し、多くの書籍を遺されました。代表作には「寂聴 般若心経」や「源氏物語」があります。「寂聴 般若心経」は、般若心経の神髄を分かりやすく説明しています。「源氏物語」は、現代語に訳した不朽の名作といわれています。

仕事に関しては、陽占の東方龍高星(改善改革)と、南方鳳閣星(情報を伝える)から判断しますが、古典文学を改良して情報発信するという、宿命通りのお仕事をされたのです。宿命を最大限に稼働できていましたから、水を得た魚のごとく取り組まれたのではないでしょうか。「源氏物語」に関しては、実際に寂聴先生は、依頼されたからではなく、自分自身が取り掛かりたかった題材だったとお話されています。

出家されて尼僧になられたことも、先述しました玉堂星の世界観ですね。寂聴先生によって、多くの方が仏教を身近に感じられるようになったと思います。自分の宿命を生かすということは、人生が生きやすくなり、また自分自身が輝きだすと算命学では考えます。

人生を輝かせる為に意識するとよい極星が、人にはそれぞれあります。寂聴先生は禄存星です。極星の禄存星は、物質や人間など、全てを引き寄せます。それはその人の因縁をも引き寄せてしまいますので、因縁を消化することがポイントとなります。正しく因縁を消化するためには、自己を高める努力が必要です。寂聴先生は尼僧になられることで、自己鍛錬し人々の因縁さえも払ってこられました。宿命を最大限に活かされていたのですね。しかし禄存星が輝くとき、家族が犠牲になりやすいので、注意が必要です。その点においても、寂聴先生は家族を犠牲にするという宿命そのままに生きたのです。

~先生のお言葉~

「この才能に賭けよう」と思い立ったら、他は全部捨てましょう。勇気のいることですが、そうすれば成功します。興味のないことをやる必要はありません。その時間をひとつのことに注いでください。

「あなたはたった一つの尊い命をもってこの世に生まれた、大切な存在です。」

次回の第二回目は、寂聴先生の恋愛に迫ります。

創喜塾認定鑑定士 菊桐媛子