『宿命天中殺がないから平凡な人生』って本当??その③

『宿命天中殺がないから平凡な人生』って本当??その③

最終回は、草間さんの陰占から派生する特徴的な位相法と、宿命とシンクロする方法をお伝えします。

【命式表】

  陰占

丙 丁 己

寅 卯 巳

甲 乙 丙

戊   戊

丙   庚

3  4  6

    陽占

                 調舒星 天禄星

龍高星 玉堂星 貫索星

天貴星 石門星 天恍星

 

〈天中殺〉

戌亥天中殺

草間さんの陰占三柱を構成する六十花甲子は3,4,6番です。とても近い番号ですね。

 

これで何が起こるかというと、大きくは二つあって、一つは人の行動領域を表す宇宙盤の範囲が狭くなることです。

とくに草間さんの宇宙盤は、第一領域にしか範囲がありません。この形の宇宙盤を持つ人は、接する相手のエネルギーを吸収してしまう、とされています。

 

草間さんには算命学でいう初年期に、その後の人生の礎となるような、人との重要な出会いがいくつもありました。

 

草間さんが芸術の道に進めるよう導いてくれた人。

草間さんの心の安寧のために主治医的な立場から草間さんに助言を続けてくれた人。

草間さんの東京進出のきっかけを作ってくれた人。

草間さんの活躍の幅を広げるために尽力してくれた人。

 

幼少期から、草間さんにとって描くことは、自分を苦しめる幻覚から逃れる術であり、生き伸びる手段でした。才能とか運の後押しの有る無しに関わらず、自分が自分で在り続けるために必死の思いで取り組んだことが描くこと・創作することでした。

 

その時期はまだ無名の草間さんですが、関わった人は、全力で自分の人生を生きる草間さんに圧倒され魅了され、彼女の生を輝かす後押しをしたいという思いに駆られてしまうのでしょう。

 

 

三柱の干支番号が近いことで起こるもう一つの現象は、対冲、半会、納音、律音など、人生行程に大きな影響を及ぼす位相法が、4年間に立て続けに回るということが挙げられます。

 

位相法は、どの柱に回るかで起こりうる現象は少し違ってくるのですが、同じ位相法が短期間に連続して回ることで、その影響は強くなると考えられます。

草間さんの人生行程を見させていただいて、とくに目についたのが、草間さんの人生が大きく動いた時と、連続する納音と律音が重なっていたことです。

 

納音律音については、鑑定士ブログ7/28・29号に、芝蘭先生が実体験を絡めてとても分かりやすく書いてくださっていますので、まだ読んでいらっしゃらない方はアーカイブから探してくださいませ^^

 

草間彌生さんが世界に羽ばたく最初の一歩が、1957年に渡米されたことなのですが、その渡米の年の前年1956年から1959年にかけての年運納音が回っていました(※1958年は外れています)。

 

納音現象を受け入れると、今までの生き方が納まり、その先の人生は今までの生き方の裏側を進むような感じになります。

 

草間さんは、複雑とは言え両親が居たから絵を描いていられるような生活ができていましたし、彼女の才能を理解してくれる人たちもいました。しかし、その環境を渡米によって終わらせ、精神的な病と闘いながら自らの力で生きることを選びました。

 

家庭の抑圧した教えを受け、嫌悪してきた性的なものに真っ向から向き合い、それを形に表すことで抑圧から自分を解放していきます。裸の男女に水玉のボディペイントを施したり、男根状のものを無数に貼り付けた椅子を創作したり、美術館でゲリラパフォーマンスを行ったり…。あのアンディ・ウォホールにも影響を与えたそうです。すごいっ!

 

ハプニング芸術家、前衛の女王等呼ばれるようになり、世間一般からも注目を浴びるようになりますが、パートナーの死で再び体調を崩して日本に戻ります。その後は、療養しながら執筆活動に力を入れるようになり、アートシーンの表舞台からは遠ざかります。

 

しかし。

 

1989年にニューヨークの国際現代美術センターで開催された『草間彌生回顧展』がきっかけで、アメリカを中心に草間さんへの注目度が再び高まりました。1989年は草間さん60歳の年で、1985年から続いた連続律音最後の年でもあります。

 

誰でも60歳の年の年柱は律音となり、今までの人生の上に、もう一人の自分が生まれるとされています。納音から30年間の生き方の答え合わせをする時期でもあります。

 

律音を機に、芸術・文学で自己確立された草間さんの人生が再び大きな輝きを放ち、その魅力は日本、アメリカのみならずヨーロッパにも波及し、『世界の草間彌生』になっていきます。

 

2016年にはタイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に日本人で唯一選ばれ、国内でも文化勲章を授与されます。2017年には東京都新宿区に草間彌生美術館がオープンし、草間さんの世界を体感できる場所が増えました。

 

2016年は1956年から60年後、草間さんの人生行程で二度目の納音です。2019年まで納音が断続的に続きますから、やはり草間さんの人生は、納音、律音で大きな動きがありますね。

 

『人生の浮き沈みの中に、いつも志を強くもって生きてきた今日にいたるまでの人生の歩み、それらの人生路の長かりし日々を私は真剣に、そして命がけで過ごしてきたことを、心から誇りに思っております。』

 

少し古いですが、2017年の草間さんのメッセージです。

このように、自分の生き方を肯定できるって素晴らしいですよね。

 

草間さんがご自分の宿命を知っていて、それに沿って行動されていた、というような記述は見つけられなかったですし、そうとは考えられないのですけれども、自分らしい生き方を求めて全力で行動する人は、持って生まれた運の流れに自然に乗るものなのだなぁ、と思いました。

 

今回は宿命条件がなくとも大きく成功された方をご紹介しましたが、逆に、宿命条件が有っても、たくさんの人に知られるような成功も名声名誉も得られない、という人の方が世の中多いはずです。

 

でも、他者からの賞賛は得られなくても、自分が自分を嫌いにならない生き方を自分にさせてあげることで、持って生まれた宿命の波に乗ることはできます。

 

それが成功の人生なんじゃないかな、と思ったりしました^^

 

 

おわり

 

凛木先生

創喜塾鑑定士  凛木